■ホンダ・モンキーの歴史と車体番号
モンキー(MONKEY)とは、本田技研工業が製造販売している原動機付自転車(小型レジャーバイク)の車種名。最新型の形式はJBH-AB27。姉妹車のゴリラなどと共に、総じて4MINIと呼ばれる。
モンキーのルーツ ~ 遊園地の遊具
●ホンダ Z100型(1961年)
・1961年の東京モーターショーにおいて発表された、レジャーバイクのZ100型が発祥であり、当初はホンダが経営していた「多摩テック」の遊具として製造され始めた。
・多摩テックに乗り物として登場し、このモデルは子どもたちに好評を博し、たちまち人気にになる、
・折り畳める機能は初めから付いていたので多摩テッでの公開は市場調査の意味もあったのだろう。
・前後とも5インチのタイヤをリジッドフレームに搭載。燈火類は装備されていないので公道仕様ではなかった。
●ホンダ CZ100(1964年)
・そして1964年にはモデルチェンジ版であるCZ100の日本国外への輸出も始まり、販売先で好評だったことから、国内向けの公道走行仕様も開発が行なわれることになった。まだmonkeyの呼称はされていなかった。
車名の由来(モンキーの由来)
・それぞれ霊長類・類人猿のサル・ゴリラに因んでいる。
・なお発売にあたって決定された車名のモンキーについては、運転している人間の様がサルに似ているから、という一般的な説のほかに、当時Z100が置かれていた多摩テックの近隣にある野猿街道から名付けられたという説もある。テスト走行は野猿街道で行われたとも。
●ホンダ・モンキー Z50M(1967年)
・国内向け最初のMONKEYであるZ50M型は1967年に発売された。当初はCZ100の車体を流用し、5インチタイヤにリジット(サスペンションなし)という構成であった。
・搭載されるエンジンはスーパーカブに準じた空冷50cc単気筒であり、バルブ機構はカブと共にCZ100のOHVからOHCに変更されている。
・また乗用車などへの搭載を前提に燃料漏れ防止装置のつくタンクキャップ、ドレンコックつきのキャブレター、そして現在も特徴のひとつとして挙げられるハンドルの折り畳み機能が搭載された。
・1969年に車体構成をやや大きくする変更を受けて8インチタイヤとフロントサスペンションを装備し、1974年にはリアサスペンションとリアキャリアの装備やブロックタイヤへ変更を行なう。
●ホンダ・モンキー Z50J Ⅰ型(1978年~) ※俗称 4Lモンキー
1978年に発売されたティアドロップ型の燃料タンクと3速ギア・自動クラッチを搭載したZ50J-I型以降、2007年のZ50J-7(AB27-180)型まで、細かな改良が行われたものの(1984年にギアを4速・手動クラッチに変更しエンジンも強化、1985年に集合スイッチの取り付け、1992年に12Vに電装が強化、
1999年に自動車排出ガス規制対応(届出形式がA-Z50JからBA-AB27に)、2002年に盗難抑止機能を追加するアラームキットを取り付ける為のプレワイヤリングが装着、2003年からはヘッドライトリムへの水抜き穴の追加とリアキャリアへのUロックホルダの追加を実施。
2007年9月の自動車排出ガス規制強化により一旦生産を終了するまでほぼ同じ外観のままで発売されていた。ドイツ、オーストラリア、フィンランドなどでも現地の法律に合わせた仕様で販売された。
●モンキーの車体番号の打刻位置
ホンダモンキーの車体番号の打刻位置は、一般的なバイク同様、ステアリングヘッドパイプの左側です。
ハンドルを右に切って、車体の左側からステアリングヘッドパイプを見れば書いてあります。
●車体番号を知る必要性
純正パーツ、また社外のアフターパーツを注文する際は、まずフレームナンバーの確認が必要となります。お店などでパーツを購入する際は、ほぼ間違いなく「フレームナンバーは?」と聞かれるでしょう。
特に長い歴史を持つモンキーは、これまで幾度となくモデルチェンジ。クランクシャフトやピストンの変更、6Vから12Vに変更される等々、定期的に改良が加えられてきた。そのため、パーツによっては互換性がなく、取り付けできないものもあります。それを知るための重要な情報のひとつが、フレームナンバーなんです。
年式 | 型式 | 車体番号 | 備考 |
1979~1980年 | Z50JZ-Ⅰ | Z50J-1300017~1412278 | |
1981~1984年 | Z50JB-Ⅰ | Z50J-1412384~1428713 | |
Z50JC-Ⅰ | Z50J-1429116~1437095 | ||
Z50JE-Ⅳ | Z50J-1501051~1510400 | ||
1984年 | Z50JF-ⅦL | Z50J-1600008~1616092 | |
1985~1987年 | Z50JF-Ⅶ | Z50J-1607008~1627357 |
●ホンダ・モンキーR (1987年)
MONKEY Rは1987年に発売された。モンキーシリーズとして発売されたが、一見するとアルミバックボーンフレームに見えるスチールフレーム、シート一体型のシートカウルなど、車体構成は全くと言っていいほどの別物である。
サーキット走行をイメージしたセパレートハンドルとバックステップ、前後輪を10インチにして前輪にディスクブレーキを装備し、エンジンもカブと仕様を同一にして4.5psまで出力を向上させていた(当時のカブは4.5ps)。
1988年に追加モデルとしてRTが発売されたが、これは車体構成はRと同一であるものの、アップハンドル及びフォワードステップに変更してリアキャリアを装備し、タイヤをオフロードに対応したブロックパターンに変更して、オールマイティな走行を可能にしたモデルとなっていた。しかし、共にモンキーほどの支持は得られず、数年間で生産終了となっている。
●ホンダ・モンキーバハ(1991年)
MONKEY BAJA(モンキーバハ)は1991年に発売された。車両デザインは当時発売されていたデュアルパーパスモデルのXLR250BAJAをモチーフにしており、デュアルヘッドライト、ナックルガード、サイドカバーなどが装備され、電装をバッテリーレスにするなど手を加えられているが、車体構成はモンキーとほぼ同一となっていた。2001年に生産終了。
●ホンダモンキー Z50R(1992年)
Z50Rは競技用車両でありZ50J-I型をもとに保安部品を外し、シート・ハンドルなどの細部の変更、ゼッケンプレートを装備。1992年にモンキーバハの保安部品を外した仕様になる。
元がモンキーであることから大人の乗車にも十分耐え得る構造だったものの、子供向けの車両という雰囲気が強く、後にXR50Rに引き継がれる形で生産終了となっている。
粘り強く扱い易い空冷・4サイクル・単気筒エンジンを搭載し、不整地での優れた走破性を発揮するオフロード走行専用車と、簡単な操作で不整地走行が楽しめる軽量・コンパクトなオフロード走行専用車「ホンダ Z50R」のカラーリングが変更され発売されました。このZ50Rは、北米などに輸出し好評を得ているモデルで、オフロード走行やアウトドアライフを楽しみたいと考える家族や若者向けに開発されたアウトドアグッズ感覚のオフロード走行専用車でした。
年式 | 型式 | 車体番号 | 備考 |
1988年 | Z50JJ-ⅦS | Z50J-1627459~1632802 | |
1988~1991年 | Z50JJ-Ⅶ | Z50J-1627608~1643137 | |
Z50J-1800001~ | |||
1990年 | Z50JL-ⅦB | Z50J-1636201~1639002 | |
1992~1994年 | Z50JN-ⅦJ | Z50J-2000001~ | |
Z50JP | Z50J-2100001~2114151 | ||
1995~1998年 | Z50JS | Z50J-2200001~2299999 | |
Z50JT | Z50J-2300001~2306110 | ||
1997年 | Z50JV | Z50J-2400001~2499999 | 誕生30周年記念車 |
1999~2000年 | Z50JY-7J | AB27-1000001~1099999 | |
2000年 | Z50JY-YC | AB27-1000001~1099999 | |
2001年 | Z50J1-7J Z50J1-YC |
AB27-1100001~1199999 | |
2002~2003年 | Z50J2 | AB27-1200001~1299999 | |
Z50J3-7J | AB27-1300001~ | ||
2004年 | Z50J4-YD Z50J4-7J |
AB27-1400001~1499999 | |
2005年 | Z50J5 | AB27-1500001~1599999 | |
2006年 | Z50J6-YB Z50J6-7J Z50J6-8J |
AB27-1700001~1709999 | |
2007年 | Z50J7-YB Z50J7-2J Z50J7-3J |
AB27-1800001~1809999 | |
2009年 | Z50J9-YA Z50J9-3J |
AB27-1900001~ |
●ホンダ・モンキー(2009年) ※俗称 FIモンキー
2009年1月、エンジンに電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を搭載し、エキゾーストパイプに触媒装置(キャタライザー)を内蔵させ、排出ガス規制に適合し販売を再開した。
このモデルよりPGM-FIを搭載するためにフレームと足回りを除いて大きく手が加えられており、従来バッテリーがあったサイドカバー部はヒューズなどが入っている。
バッテリーはシート下へと移動し、シートも形状が変更された。メーター周りでは警告灯が追加されたほか、燃料タンクは1978年以前のモデルに近い形状に変更された。
販売歴はカブに次ぐロングセラーであり、過去のモデルなどで発売された車体色の種類(カラーオーダー車を除く)は日本のオートバイで最も多く、シルバーメッキ仕様(1979年ほか)やゴールドメッキ仕様(1984年・1996年)など数多くの製造台数限定の特別車両が発売されている。
●ホンダ・モンキー現行車(2012年現在)
50ccの原付レジャーモデル「モンキー」に、元気で愛らしいイメージの新色プラズマイエローを追加するとともに、特別仕様の「モンキー・リミテッド」を受注期間限定にて、それぞれ2012年2月13日(月)に発売されました。
今回のモンキーは、継続色のセイシェルナイトブルーを含め2色のカラーバリエーションとしています。モンキー・リミテッドは、車体色にモンツァレッドを、フューエルタンクのカラーにシルバーを採用することで、1962年に発売した市販ロードレースマシン「CR110 カブレーシング」をイメージした限定モデルとしています。
< モンキー・リミテッドの専用仕様>
・鮮やかなモンツァレッドの車体色とシルバーカラーのフューエルタンク
・クロームメッキ仕上げのスチール製前・後フェンダーとエキゾーストパイプカバー
・“Monkey LIMITED”のステッカーを施したサイドカバー
・レッド&ブラックの専用ツートーンシート
・専用エンブレムをデザインしたスペシャルキー
●メーカー希望小売価格
モンキー 289,800円(消費税抜き本体価格 276,000円)
モンキー・リミテッド 299,250円(消費税抜き本体価格 285,000円)
※ 価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
●モンキーの魅力と現状
販売歴はカブに次ぐロングセラーであり、過去のモデルなどで発売された車体色の種類(カラーオーダー車を除く)は日本のオートバイで最も多く、シルバーメッキ仕様(1979年ほか)やゴールドメッキ仕様(1984年・1996年)など数多くの製造台数限定の特別車両が発売されている。
モンキー・ゴリラともに非常にシンプルな構造で、整備士資格を持たない素人でも比較的簡単に分解と組み立てが出来る。また搭載されるエンジンは数多くの車種に採用された横型単気筒エンジンであり、基本的な構造は同じでも性能の違う部品が数多く存在する。それらの要因が重なったためか、発売以来、ショップだけでなく個人レベルでもエンジンのチューニングや改造が楽しまれている。
改造が非常に盛んな車種であるため、国内外のメーカーから数多くのパーツが発売されている他、日本国外の二輪メーカーによるコピーバイクも流通している。
Update 2015/01/01 Create 2010/10/10
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ダックス(DAX)とは、本田技研工業が製造販売していたオートバイであり、シリーズ車種として数車種が生産されていたが、現在は全て販売終了している。